fall between two stools

「二兎追うものは一兎をも得ず」



                                                      高野圭介

 宮沢喜一
2011年2月10日のこと,,どこかのTVから宮沢喜一の名前が聞こえてきた。

家内の美津子が娘時代に、憲法調査会(赤阪離宮内)の
高柳賢三会長秘書を勤めていて、その委員に宮沢喜一が居た。

宮沢は独学で学んだ英語の素養は政界随一と言われた。
また、結婚式と葬式が大嫌いで、娘・啓子の結婚式にも出なかったとか。

その宮沢喜一さんの娘さんであるラフルアー・啓子さんが風変わりな父の話をしていた。

その中で聞いた耳学問である。 


 「虻蜂とらず」



 
宮沢はよく「fall between two stools」の慣用句を言っていたという。

直訳すると「2つのスツール(背もたれ付きの椅子)の間に落ちる」ですが、
「二兎追うものは一兎を得ず」「虻蜂とらず」という意味になります。

「優柔不断である」は「Don't fall two stools.」で、
このイディオムは古いことわざから用いられた言葉です。

「どちらかの椅子(背もたれがないスツール)に座ろうとして迷い、
結局地面に尻餅をつく。」というイメージでしょうか。

2つの腰掛の間
「あちら立てればこちらが立たず」you can't please everyone.や
there that should please everybodyで、
これは古い慣用句です。

また、同様に、古い言い回しですと Between two stools the tail
または(arse) goes to ground. 「2つの腰掛の間に尻もちをつく」。

総理の座
もともと英語も stool は「王座(throne)」の意味で使われていました。

英語の「fall between two stools」から「2つの背もたれのないイスから落ちて
尻餅をつくおっちょこちょいな庶民」を連想しますが、
実は
「2つの官職の座を狙ってどちらも就けなかった出世亡者」
本来持つべきイメージなのではないかという説があります。

つまり、総理の座はなりたくていろいろやっても成れるものではないということか。

宮沢はまた、総理の座について、こう言っています。
「総理の座というのは、満員電車に乗っていて、
突然目の前の座席が空いたようなものだ」
と。




2つの碁の手法


 
さて、碁の手法に大きく2つある。

一つは宇宙流と言われる武宮・苑田の手法。もう一つは潜水艦の小林流。

つまり、模様から打つか、実利を先行して打つか・・・・。
両者は同じことをしているという人も居るが、矢張り、ま反対。

しかも、
どちらかしかやれないし、しかも一貫性を持たせなくては、さまにならない。

あれこれやると、虻蜂取らずになってしまうよ・・・
「fall between two stools」の制約下にあるセオリーだ。